立川談志×太田光『笑う超人』を観る

立川談志と"爆笑問題"太田光による対談。
「師匠はよく死にたいと言いますが、僕もそんな表現者になりたいのは勿論なんですが、」
と太田が話しだす。
そんなことが言える太田光は芸人の中でも希有の存在であろう。
芸に対し真っ直ぐ見つめている談志を尊敬しているからこと言える言葉。


またこの対談では太田は、
同じ動物を殺す行動にも関わらず、
中国でサファリパークの見世物として、
生きたニワトリをライオンに食べさせるのを見ても感動しないのに、
スペインの闘牛に感動するのは、
人間の本能と言うものを芸によって表現できているからで、
師匠の芸は感動する。
と例えを交え褒めている。


そして、この対談がまくらのようになっていて、
その後に人間のグロテスクさが盛り込まれている
談志による落語三演目『黄金餅』『らくだ』『鼠穴』が始まる。


グロテスクさをキッチリ残している所がさすがであり、
なんだか分からないが談志の世界に引き込まれていってしまった。
これがイリュージョンと言うものなのだろう。
話のリズム、間、表情、感情移入どれをとっても細かく心身共に動かしていて、
一流の表現者であることに間違いない。
吉本隆明が言っていたが、
俺にしか解らないだろうと思わせる事ができるのが、一流の表現者
作家で言えば森鴎外がそうだと。


談志を尊敬していたビートたけしが年を経るにつれ様々な形に変化していったように。
芸に対し真摯に見つめる努力家、太田光の今後も興味深いと感じた。